コーヒーの代わりになる、ノンカフェインで栄養も摂れる飲み物まとめ

私はもともと、1日に4杯も5杯もコーヒーを飲む人間でした。朝起きて1杯、仕事の合間に2杯、午後にもうひと息つきたくて1杯。香りでスイッチが入る、あの瞬間が好きだったんです。それが一変したのが、第一子の妊娠が分かった日でした。「カフェインは控えめにね」と言われて、頭の中が真っ白に。

管理栄養士として知識はあったのに、いざ自分が当事者になると話は別です。何を飲めばいいの、と途方に暮れて、片っ端からノンカフェインの飲み物を試した数ヶ月。そのうちに「ただ我慢するんじゃなく、どうせなら栄養も摂れるものを選べばいい」と気づいてから、気持ちがずいぶん楽になりました。つわりがひどかった時期は、コーヒーの匂いをかぐだけで気分が悪くなって。そんな日でもするっと喉を通った飲み物が、いくつもありました。

はじめまして、管理栄養士の望月あやです。病院と保育園の給食づくりを経て、いまは妊娠・授乳期の女性や子育て世帯に向けて栄養の話を発信しています。今日は、コーヒーの代わりになって、しかも体にうれしい栄養まで摂れる飲み物を、自分で飲み比べた経験と栄養士の目線でまとめました。妊娠中の人はもちろん、夜眠れない人、カフェインで動悸がしやすい人にも役立つはずです。

「ノンカフェイン」と「カフェインレス」は、実は別物

最初に、ここだけ整理させてください。買い物のときに混同しやすいので。

ノンカフェインは、もともとカフェインを含まない原料で作られた飲み物です。麦茶やルイボスティーがこれにあたります。カフェインはゼロ。

カフェインレスやデカフェは、コーヒーや紅茶からカフェインを抜いたものを指します。日本では90%以上を除去すれば「カフェインレス」と表示できる決まりです。つまり完全なゼロではなく、ごく微量は残っています。

表記意味カフェイン
ノンカフェインもともと含まない原料で作るゼロ
カフェインレス/デカフェコーヒー等から90%以上を除去ごく微量残る
カフェインフリーノンカフェインとほぼ同じ意味ゼロが基本

妊娠中や授乳中で「できるだけゼロにしたい」なら、ノンカフェインを選ぶのが安心です。コーヒーの風味そのものが恋しいときはデカフェ。そんな使い分けがしっくりきます。

そもそも、なぜコーヒーを控えたくなるのか

理由は人それぞれです。私のように妊娠がきっかけの人もいれば、夜眠れなくて、という人もいます。よくあるのはこのあたり。

  • 妊娠中・授乳中で、赤ちゃんへの影響が気になる
  • 寝る前に飲むと寝つけない、夜中に目が覚める
  • 飲むと動悸や手の震えが出る、カフェインに敏感
  • 貧血気味で、鉄分の吸収を邪魔したくない

カフェインには目を覚ます働きがある反面、摂りすぎるとめまいや不安、震え、不眠といった症状につながることがあります。利尿作用があるので、夜中にトイレで目が覚めてしまうのも地味につらいところ。さらに鉄分やカルシウム、マグネシウムの吸収を妨げる性質もあって、貧血になりやすい女性には見過ごせません。

授乳が始まってからも油断はできません。お母さんが摂ったカフェインはごく一部が母乳に移って、赤ちゃんに届きます。量が多いと、赤ちゃんが興奮して寝つきにくくなったり、ぐずりやすくなったりすることも。もともとカフェインに敏感な体質の人もいます。私の友人がまさにそうで、「妊娠する前から、コーヒーは1日1杯が限界だった」と話していました。1杯でも夜に目が冴える、胸がドキドキする。そういう人にこそ、ノンカフェインの選択肢を知っておいてほしいです。

では、飲み物にどれくらいカフェインが入っているのか。農林水産省のカフェインの過剰摂取についてに、わかりやすい数字が出ています。

飲み物カフェイン量
コーヒー(浸出液)60mg/100mL
インスタントコーヒー約80mg/1杯
紅茶(浸出液)30mg/100mL
せん茶(浸出液)20mg/100mL

こうして並べると、コーヒーの多さが目立ちます。マグカップ1杯(約200mL)で、それだけで120mg前後。けっこうな量です。

妊娠中はどこまでなら大丈夫なのか。東京都保健医療局の食品安全に関するFAQによると、欧州食品安全機関(EFSA)は妊婦で1日200mgまでを目安にしていて、これはコーヒーでいうとカップ約1.7杯分。世界保健機関(WHO)は1日300mgを超えないよう注意を促しています。国によって幅はありますが、だいたい200〜300mgが一つのラインだと思っておくといいです。

ここからが本題。コーヒーをやめても、おいしくて栄養も摂れる飲み物はちゃんとあります。

コーヒーの代わりになる、栄養も摂れる飲み物7つ

麦茶

香ばしくて、子どものころから親しんだ味。原料は大麦で、カフェインもタンニンも含みません。だから赤ちゃんから大人まで安心して飲めます。ミネラルがほどよく摂れて、夏の水分補給にもぴったり。スーパーで安く手に入って、作り置きもできる。続けやすさでいえば、これが一番かもしれません。煮出すとより香ばしく、水出しならすっきり。私は夏は水出しの冷たいの、冬はホットでと、結局一年じゅう飲んでいます。

ルイボスティー

南アフリカ生まれの、マメ科の植物から作るお茶です。鉄や亜鉛、マグネシウムといったミネラルと、抗酸化作用のあるポリフェノールが摂れます。クセが少なくて飲みやすく、妊娠中の定番として人気。ただし妊娠後期に大量に飲むことには慎重さを求める研究報告もあるので、何事もほどほどに、という前提は忘れずに。温めると香りがふわっと立って、少しミルクを足せばルイボスラテになります。カフェオレが恋しい日の、いい代役でした。

黒豆茶

黒大豆を焙煎した、ほんのり甘くて香ばしいお茶。大豆由来のポリフェノールや鉄分が摂れて、冷えやむくみが気になる時期の私を助けてくれました。ノンカフェインなので寝る前にも向いています。飲み終わったあとの豆は、やわらかくなっているのでそのまま食べられます。お茶も飲めて栄養もとれて、ちょっと得した気分。大豆アレルギーのある人は念のため避けてください。

たんぽぽコーヒー

コーヒーの代わりを探している人に、まず勧めたいのがこれ。たんぽぽの根を焙煎して作る飲み物で、見た目も香ばしさもコーヒーにそっくりです。カフェインはゼロ。昔から産前産後の女性に親しまれてきた歴史があって、カリウムなどのミネラルも摂れます。豆乳やミルクを加えると、たんぽぽラテに早変わり。これが思いのほかコーヒーっぽくて、朝の一杯の物足りなさをうまく埋めてくれました。キク科の植物にアレルギーがある人は注意してください。

コーン茶

とうもろこしを焙煎したお茶で、香ばしくてほんのり甘い。クセがまったくなくて、子どもも飲みやすい味です。食物繊維やカリウム、鉄分が摂れて、これもノンカフェイン。韓国ではおなじみの一杯ですね。香ばしさが料理の邪魔をしないので、食事中のお供にもよく合います。

ローズヒップなどのハーブティー

ビタミンCがたっぷりのローズヒップ、鉄分を含むネトルなどは、栄養面で頼りになります。香りでほっとリラックスできるのもいいところ。ただしハーブの中には妊娠中に避けたほうがいいものもあって、ここは後で詳しく書きます。

青汁

野菜不足までまとめて補いたいなら、青汁が便利です。大麦若葉やケール、明日葉などを原料に、食物繊維、ビタミンC、鉄分、β-カロテン、カリウムと、ミネラルとビタミンがぎゅっと詰まっています。1杯で野菜のおかずを1品増やすような感覚。

ただ、青汁ならどれでもノンカフェインかというと、そうとは限りません。大麦若葉100%のようなシンプルな青汁はカフェインをほぼ含みませんが、緑茶や抹茶をブレンドした製品だと、その分のカフェインが入ります。妊娠中や授乳中で気になる人は、買う前に原材料欄をチェックするのが確実です。このあたりは思っているより奥が深くて、青汁にカフェインが含まれるのか、原材料の違いまで解説したページを読むと、製品を選ぶ目が変わります。

7つの特徴をざっと表にまとめておきます。

飲み物主に摂れる栄養味の特徴カフェイン
麦茶ミネラル香ばしいなし
ルイボスティー鉄・亜鉛・ポリフェノールクセが少ないなし
黒豆茶ポリフェノール・鉄分ほんのり甘いなし
たんぽぽコーヒーカリウム等のミネラルコーヒー風なし
コーン茶食物繊維・カリウム甘く香ばしいなし
ハーブティー(ローズヒップ等)ビタミンC・鉄分華やかで酸味なし
青汁食物繊維・ビタミン・鉄分野菜の風味原料による

目的別、どれから試す?

迷ったら、目的で選ぶと早いです。

  • 寝る前にほっとしたい人 → 麦茶、ルイボスティー
  • 鉄分やミネラルを補いたい人 → 黒豆茶、青汁
  • コーヒーの香ばしさが恋しい人 → たんぽぽコーヒー、デカフェ
  • 野菜不足も一緒に解消したい人 → 青汁
  • 家族みんな、子どもと一緒に飲みたい人 → 麦茶、コーン茶

私の場合、朝はたんぽぽコーヒーでコーヒー気分を満たして、日中は麦茶、夕方は黒豆茶という感じで使い分けていました。1種類に絞らず、その日の気分で回す。これが続けるコツだと思っています。

ノンカフェインでも油断は禁物。選ぶときの注意点

ノンカフェインなら何でも安心、というわけではないところが、少しややこしい。最後にここを押さえてください。

まずハーブティー。リラックスできて魅力的ですが、カモミールやマテ茶、シナモン、ジャスミン、レモングラスなど、子宮の収縮を促すとされるものは妊娠中は避けたほうが無難です。ブレンドティーは中身が見えにくいので、原材料を必ず確認しましょう。

ルイボスティーも、さきほど触れたように妊娠後期の飲み過ぎには慎重に。「体にいいから」とがぶ飲みするより、適量を楽しむほうがいいです。

見落としがちなのが、ブレンド製品にまぎれたカフェイン。玄米茶や、緑茶を混ぜた青汁のように、茶葉系の原料が入っていると、ノンカフェインのつもりでカフェインを摂っていることがあります。パッケージの原材料表示を見る。この習慣をつけるだけで、ずいぶん違います。

もうひとつ。カフェインレスやデカフェは「ゼロ」ではありません。90%以上カットされていても、わずかに残ります。普段はそれで十分でも、完全にゼロにしたい日はノンカフェインを選ぶ。そんなふうに使い分けてください。

まとめ

コーヒーをやめると聞くと、味気ない毎日を想像するかもしれません。でも実際に試してみると、麦茶の香ばしさ、たんぽぽコーヒーのほろ苦さ、黒豆茶の甘み、それぞれにちゃんとおいしさがあって、しかも栄養まで摂れます。我慢じゃなく、置き換え。そう考えると、ぐっと前向きになれました。

私自身、出産が終わったいまでも午後の一杯はノンカフェインのままです。この習慣がすっかり気に入ってしまって。あなたも、まずは気になった1杯から試してみてください。「これ、いいかも」が見つかったら、こっちのものです。