2026年4月13日

新潟の楽器店巡りで感じた、地方ならではのギター選びの楽しさ

「いいギターを買うなら東京まで出ないとダメでしょ」。新潟に住んでギターを弾いていると、こんなことを言われる機会が少なくありません。正直、僕も昔はそう思っていました。

高橋拓也、38歳。新潟市在住のサラリーマンギタリストです。大学時代にギターを始めて、バンド活動を続けながら気づけばハイエンドギターの沼にどっぷり。SuhrやTom Andersonを何本か所有していて、東京・御茶ノ水への「ギター買い物遠征」も何度もやっています。

ただ、ここ数年で考えが変わりました。新潟の楽器店巡りには、東京では味わえない独特の楽しさがある。この記事では、県内の楽器店を実際に回って感じた「地方ならではのギター選びの面白さ」をお伝えします。ハイエンドギターに興味はあるけれど、地方在住だからと半ば諦めている方にこそ読んでいただきたい内容です。

新潟で回れる楽器店は意外と充実している

「新潟に楽器店ってあるの?」と県外の友人に聞かれることがありますが、実は個性豊かな店が複数揃っています。ざっと紹介しますね。

島村楽器(新潟ビルボードプレイス店・イオン長岡店)

全国チェーンの島村楽器は、新潟県内に2店舗を構えています。新潟ビルボードプレイス店はJR新潟駅万代口から徒歩10分の好立地。エレキギター、アコースティック、エフェクターまで幅広いラインナップです。

イオン長岡店は駐車場1,500台を擁するショッピングモール内にあるので、車社会の新潟では特にありがたい存在。どちらの店舗もリペアサービスや音楽教室を併設していて、買った後のサポートまで一貫しています。

島村楽器の強みは全国ネットワークを活かした取り寄せ対応。店頭にない機種でも、他店舗の在庫を調べて取り寄せてくれることがあります。これは地方在住者にとって大きなメリットです。

あぽろん(新潟・長岡)

新潟の楽器好きなら知らない人はいない、1972年創業の老舗。県内に6店舗を展開しています。

あぽろんの面白いところは、東京の大手チェーンが扱わない海外のニッチなブランドを積極的に仕入れている点。NashやSire、Warwickといったブランドの実物を手に取って試せる店は、このあたりではあぽろんくらいです。

長岡市の公式Webメディア「な!ナガオカ」でも、あぽろん長岡店の特集記事が組まれるほど地元に根付いた存在。オーナーの本間氏は「楽器の背景にあるストーリーやビルダーへのリスペクト」を大切にしていて、その姿勢がギター好きに支持されています。

ヤマハミュージック新潟店・ギターフロンティア

ヤマハミュージック新潟店はJR新潟駅から徒歩7分ほど。総合楽器店として管楽器やピアノも充実していますが、ギターコーナーもしっかりしています。試奏スペースが用意されているので、落ち着いて音を確かめられるのが好印象。

一方のギターフロンティア新潟は中古ギター専門店。ジャパンヴィンテージやオールドヴィンテージも並んでいて、掘り出し物を探す宝探しのような楽しさがあります。HeadwayやBaccusのディバイザー正規代理店でもあるので、コスパに優れた国産ギターを探している方にもおすすめです。

新潟の主要楽器店を表にまとめておきます。

店舗名所在地特徴
島村楽器 新潟ビルボードプレイス店新潟市中央区八千代2-1-2全国チェーン、取り寄せ対応、リペア併設
島村楽器 イオン長岡店長岡市古正寺1丁目249-1大型駐車場完備、音楽教室併設
あぽろん 新潟店新潟市中央区東堀前通5-409-11972年創業、独自ブランド仕入れ
あぽろん 長岡店長岡駅西口エリア著名ミュージシャン御用達
ヤマハミュージック 新潟店新潟市中央区東万代町1-30総合楽器店、試奏スペース完備
ギターフロンティア 新潟新潟市中央区出来島2-13-18中古ギター専門、ヴィンテージ取扱

地方の楽器店巡りだからこそ味わえる楽しさ

東京や大阪の楽器街とは違う、新潟の楽器店巡りならではの魅力。僕が特に感じているのは3つあります。

店員さんとの距離が近い

東京の大型店だと、週末は人がごった返していて店員さんを捕まえるのも一苦労です。ようやく話せても、次のお客さんが待っている空気で落ち着かない。

新潟の楽器店は違います。適度な客入りなので、店員さんとじっくり話せる。「Suhrの Classic Sってどう思います?」と聞いたら、自分の演奏経験も交えて30分くらい語ってくれることもあります。カタログスペックには載っていない情報が、こういう会話からポロッと出てくる。地方の楽器店ならではの贅沢な時間です。

在庫の「偏り」が出会いを生む

御茶ノ水エリアなら定番モデルはだいたい揃っています。比較検討しやすい反面、選択肢が多すぎて決められなくなることも珍しくありません。

新潟の楽器店は在庫数で東京には敵わない。それは事実。でも、限られた在庫だからこそ「予想外の1本」と出会えることがあるんです。「今日はこれを試すつもりじゃなかったのに、弾いてみたら最高だった」。この体験こそ、地方の楽器店巡りの醍醐味です。

試奏環境が段違いに落ち着いている

ハイエンドギターの試奏で、周りの目を気にした経験はありませんか。東京の人気店では試奏待ちの列ができていることもあって、正直落ち着きません。

新潟の楽器店ではそんな心配は不要。防音室や試奏スペースでじっくり弾けます。島村楽器の店舗には防音試奏室が用意されていることもあり、アンプの音量を上げて本気で鳴らせる環境が整っています。ギターの真価を確かめるには、この落ち着いた空間が欠かせません。

ハイエンドギターを新潟で探す現実と工夫

地方での楽器店巡りには楽しさがある一方で、ハイエンドギター探しには現実的な壁もあります。その乗り越え方を共有します。

在庫の壁をどう超えるか

SuhrやTom Anderson、Mayonesといったブティック系ブランドのハイエンドギターを新潟の店頭で見かけることは、率直に言って多くありません。Gibson Custom ShopやFender Custom Shopは島村楽器に在庫があることもありますが、選べるカラーや仕様は限定的。

ただ、これは「地方だから買えない」と同義ではないんです。

取り寄せ・試奏の交渉がしやすい

島村楽器のような全国チェーンなら、他店舗の在庫を調べて取り寄せてもらえます。取り寄せた上で試奏してから購入判断できるので、リスクも低い。

あぽろんのような独立系ショップでも、代理店との太いパイプを活かした個別仕入れに応じてくれるケースがあります。「こういうスペックのギターを探しているんですが」と具体的に相談すると、意外な提案が返ってくることも。店員さんとの距離が近いからこそ成り立つコミュニケーションです。

ネット通販との上手な付き合い方

ハイエンドギターの購入でネット通販も選択肢に入るのは事実。ただし、30万円を超えるギターを弾かずに買うのはリスクが高い。ネック形状の感触やピックアップの出力感は、手に取らないとわからないものです。

僕のおすすめは以下の流れです。

  • ネットで気になるモデルの情報を徹底的に調べる
  • 新潟の楽器店で同ブランドや近い仕様のモデルを試奏する
  • 自分の好みを明確にしてから購入に踏み切る

新潟でのハイエンドギター購入先をまとめたこちらの記事も、店舗選びの参考になります。

なお、試奏時のマナーとして押さえておきたいポイントも挙げておきます。

  • 必ず店員さんに声をかけてから楽器を取り出してもらう
  • ベルトのバックルや指輪など、塗装を傷つけるアクセサリーは外す
  • 1本あたり10〜15分を目安にする
  • 他のお客さんの試奏を妨げないよう音量に配慮する

僕が新潟の楽器店で出会ったギターたち

理屈ばかり並べても面白くないので、僕の実体験をいくつか紹介します。

島村楽器で弾いたSuhrの衝撃

Suhrは、Fender Custom Shopの元シニア・マスタービルダーであるジョン・サー氏が1997年に立ち上げたブランド。CNC加工と熟練職人の手仕上げを融合させた精密な作り込みに定評があります。

僕が初めてSuhrに触れたのは、島村楽器のフェア期間中。Classic Sというヴィンテージ系のモデルでした。ネックを握った瞬間、フレットの処理が信じられないほど滑らかで、指が吸いつくような感覚。クリーントーンは鈴鳴りが美しく、クランチに切り替えると太さと歯切れの良さが同居している。

結局、その日のうちに購入を決めました。今でもメインギターとして手放せません。

あぽろんで見つけた掘り出し物

あぽろんでは、大手が扱わないブランドとの出会いがあります。Nashのエイジド加工されたストラトタイプを手に取ったときは、見た目のヴィンテージ感と弾き心地の良さに驚きました。

新品なのに「何年も弾き込まれた」ような鳴り。こういうギターは実際に弾いてみないと良さがわかりません。店員さんが「入荷してすぐ話題になったんですよ」と教えてくれて、分かる人には分かるんだなと納得。

Gibson Custom Shopの試奏で固まった話

Gibson Custom Shopの1959 Les Paul Reissueを試奏させてもらったときのこと。ニカワ接着、ニトロセルロースラッカー塗装という当時の製法をそのまま再現したモデルです。

アンプにつないでコードをジャラーンと鳴らした瞬間に、音の太さと倍音の豊かさに固まりました。数秒間、何も言葉が出なかった。価格帯は普通のGibson USAの2倍以上。お財布的にはなかなか厳しい領域ですが、この体験があったからこそ「ハイエンドギターの世界」にどっぷりハマったのだと思います。

新潟はギターライフを楽しめる街

ギターを手に入れたら、次は弾く場所と仲間が欲しくなる。その点でも新潟は恵まれています。

ライブハウスが揃っている

NIIGATA LOTSは700人収容でACIDMANやHEY-SMITHなど幅広いジャンルの公演が行われています。もう少しコンパクトな箱なら、GOLDEN PIGSが3ステージ(RED STAGE 300人、BLACK STAGE 150人、YELLOW STAGE 100人)を展開。アマチュアバンドでもステージに立ちやすい環境です。

CLUB RIVERSTや新潟WOODYなど、100〜200人規模の箱も充実。ジャズ好きにはJazz Flashが隠れた名店です。小箱ならではの臨場感は格別で、上質なギタートーンが映える空間でもあります。

機材談義が楽しいバンドコミュニティ

地方の音楽コミュニティは横のつながりが強い。スタジオやライブハウスで知り合った仲間との機材トークは、いつまでも尽きません。

「あぽろんに入ったNashのストラト弾いた?」「島村楽器のフェアでSuhrが来るらしいよ」。こういう口コミが、新しいギターとの出会いにつながることもあります。東京みたいな圧倒的な情報量はなくても、地元の音楽仲間から入ってくる「生きた情報」は別格の価値があるんです。

まとめ

新潟の楽器店巡りは、東京とは違った楽しさに満ちています。店員さんとの距離の近さ、予想外のギターとの出会い、落ち着いた試奏環境。どれも地方ならではの魅力です。

ハイエンドギターの在庫は都心ほど豊富ではありません。ただ、取り寄せ対応やネット通販との組み合わせで、選択肢はいくらでも広がります。島村楽器、あぽろん、ヤマハミュージック、ギターフロンティア。それぞれの店に個性があって、回るだけでもワクワクします。

「地方だからいいギターに出会えない」なんてことは絶対にありません。むしろ、新潟だからこその出会いが待っています。週末にふらっと楽器店を覗いてみてください。運命の1本が、案外すぐそこにあるかもしれません。